犬のしつけの中で時には怒ってしまいたくなるときもあると思います。 しかし、間違った叱り方では犬に正しく伝わらず、場合によっては状態を悪化させるだけではなく、犬との信頼関係が失われてしまう可能性もあります。 そこで今回は、正しい犬の叱り方について解説します。
犬のしつけ「怒る」
怒るとは自分の感情を表現するもので、相手のためにというよりは自分の腹立たしさや興奮して気持ちを荒立てることをいい、ただ単に自分の怒りの感情を相手にぶつけるような行動をとります。
犬のしつけ「叱る」
叱るとは相手の良くない言動をとがめ、良い方向へと導くことをいい、冷静に相手のためを思った行動をとります。
このように「怒る」と「叱る」では行動表現が変わってきます。
間違った行動を犬に伝わるように教えることは、言葉が通じない分とても難しいことです。
そのため、間違った行動を叱ってやめさせる前に、どんな行動をしてくれれば望ましいのかを冷静にもう一度考えなおし、その行動を褒めて教えてあげることが重要です。
犬を「叱る」のは危険が伴う時
「叱る」というのは「相手の良くない言動をとがめ、良い方向へと導くこと」と説明しましたが、実は犬自身には「良いこと」や「悪いこと」などの概念がありません。
犬が人のように善悪の判断をおこなうのは難しい
脳には、大脳新皮質という言語を理解したり論理的に思考したりと言った「知性」を司る部分があります。
さらに大脳新皮質はその部位によっても機能が異なりますが、特に前頭葉という部分は、計画的に物事を進めたり、モラルやルールを守ったりするために善悪の判断をする機能を司っています。
人はこの前頭葉が非常に発達していて、大脳新皮質の30%を占めていますが、犬はたったの7%ほどしか占めておらず人ほど発達していないため、犬に人のように善悪の判断を求めるのは非常に難しいことです。
そのため、犬が褒められたと認識するのは、「自分にとって楽しかったり」「うれしいこと」が生じること。
また、叱られたと認識するのは自分にとって「不安だったり」「怖いこと」が生じたからで、叱られることで飼い主にとって望ましくない行動をやめるのは、犬が飼い主に対して恐怖を感じているからです。
犬のしつけは「褒めること」が大事!
脳には、欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化する報酬系回路と、恐怖や不安、不快などを感じた際に活性化する嫌悪系回路があります。
報酬系回路が働くと、ドーパミンという快楽物質の分泌が促され、やる気や活力が向上します。
犬のしつけは褒めることが大切だと聞いたことがある人も多いと思いますが、犬の報酬系回路と嫌悪系回路の割合は、報酬系回路:嫌悪系回路= 8:2という点からも、犬のしつけでは望ましい行動をした際にご褒美を与えやる気を高めてあげることが効果的です!